希死念慮 幼い頃から無性に死にたかった。特に理由がある訳でもない。辛いこともあまりなかったし、沢山の愛情を受けて、なんとなく育ってきた。だというのに、自意識が芽生え始めた頃から私はどうしようもなく死にたくて、終わりに救いを感じていて、死ねば幸せになれるのだと信じていた。しかしその口で夢を語っていたことも事実である。アイドル、女優、声優、そういうキラキラしたものを夢見た。そういう特別になりたかった。現実はそんな生温いものではないので、当然、私の幼い小さな夢は運動靴の裏で押し潰された訳だが。どうしてこんなに死にたいのかと考えると、やはり終わりに夢を見ていたのではなかろうかと思う。若さに夢を見ている。年老いた自分を恐らく許容できない。刹那を売って...05Mar2023