服毒

 先週まで本当に、本当に死にたかったんです。絶対に死ぬと決意していたんです。線路は意外と歩きにくくて、ホームが高かった。でもこんなんやってもどうせ怒られて終わるなって思って、戻りました。私はつまらない私のまま、死なずに生きてしまったわけです。今週、病院がありました。薬を貰いました。あんなに死にたかったのに、今は死ぬのが怖いんです。これってまるで洗脳みたいじゃないですか? 私の意思ってどこにあるんだろう。薬で簡単に変えられてしまうようなものを、果たして意思と言うんでしょうか。私、本当に死にたかったのかな。またそういう格好を付けていただけなのかもしれなくて、そう考えたら自分の人生がもっとどうでも良くなって、なにもしたくないから、やっぱり死ぬしかないなと思うんです。怖くても、恐ろしくても、死ななきゃいけないと思うわけです。何もしたくないというか、自分が無能であることを知りたくない。自分が負け組であることを知りたくない。とっくのとうに負けてるのに、無能なのに、社会のお荷物、生きてる価値のないゴミクズなのに、私ったらまだ楽に縋ってるんですよ。痛いのが嫌って。苦しいのが嫌って。痛くない苦しくない死なんかないっつーの。電車にひかれたり、首を吊ったりしても、所詮死ぬまで苦しいだけで、死んだらきっと苦しくないといいなって思います。それに希望をかけて死ぬんです。だって延々と引き伸ばされる生存の苦しみよりは楽だから。生きるのって本当に苦しい。辛い。死ぬより痛い。死んじゃだめって言われる度にだめだから私はこんなに苦しいのかって思うんです。他人の決めただめ程度でこんな苦痛を強いられているのだと思うと涙が出てきます。楽になりたい。楽にしてくれ。お願いだから。いくら薬を飲んでもずっと生きるのが辛いんです。生まれた時からしんどいんです。生きるのを許してくれるなら死ぬのも許してよ。なんで許してくれないの。私に価値がないからか。私に才能がないからか。平凡に甘んじた私が悪いのか。普通の人間はこんなことを考えないから悪いのか。許して欲しいんです。許して欲しいんです。私が死ぬことを、私の罪を、原罪を、生存の苦しみから逃れることを。葬式でおめでとうって言ってください。黒い服なんて着ないでください。お墓なんかに入りたくない。海に撒いて欲しい。二度と思い出さないで欲しい。私は私が存在しているのが許せません。恥だとすら思います。だから本当に、生まれてこなきゃ良かったと、心から思います。でも、死ぬのは怖い。痛いのは怖い。辛いのは怖い。矛盾していると思う。人間は矛盾する生き物だとも思う。これも、今のこの考えも、薬を飲んだら変わってしまうんでしょうか。それも、怖い。お願いだから、許してください。
 死は、救いだと思っています。許しだとすら思っています。私にとって生命の終わりは、この地獄からの解放なんです。楽しいこともあります、嬉しいこともあります。でもそれ以上に生きたくない。予定があるので、まだ死にませんけれど、でも、それも今年までです。来年には死んでいなきゃいけない。迷惑をかけるだろうけど、今後私がかける迷惑に比べたら全然。大人になる前に死にます。今度こそ。絶対に。そうでなければならない。そうでなければ、私は私を一生許せない。

 お願いだから、許してください。

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