溺れる 1年前まで高校生だった。 高校生活は部活しかしてなかった。 私は結構な成績を残したこともある、それなりに強豪の演劇部にいた。先生はそれなりに厳しかったし、真っ暗になるまで稽古して、合宿して、反省会して、キラッキラの青春だって言っても過言じゃないくらいに、空気の濃い、充実した時間を生きていた。 さて、芝居とはなんだろう。 いろんな答えがあると思うし、それぞれが正しいと思う。演技に答えなんかない。自分を殺すことだって演技だろうし、役になりきるのだって演技だろう。でも。 でも、私にとって芝居はただの嘘っぱちだ。 私の演技は全部嘘っぱちだった。全部全部理論建てて1から10まで計算された舞台。それが私にとっての演劇で、芝居だ。 他人になるっ...19Jul2020
夏が来ない 完璧な曇りである。 雲の隙間から時折テクスチャバグか?くらいの小ささで青い空が覗いているものの、白と灰色をまだらに混ぜた厚い雲が空を覆う、完璧な曇りである。 降水確率40%、UV指数9。これは高いのだろうか。低いのだろうか。山にも雲がかかっていた。登山の時に雲にぶち当たったことがあるが、気圧も相俟って死ぬほど息がしにくかったのを覚えている。叫んだやまびこは果たして空の果てから返ってきたろうか。それともまだ、飛んでいるのだろうか。 7月ももう半ばを過ぎた。今年はあまり夏という実感がない。あの生ぬるい空気を掻き回すだけの教室の扇風機は、今年からクーラーに変わったらしい。まだかき氷もたべていない。夏は本当に来たのだろうか。蝉はうるさく鳴...18Jul2020